社会人となり10年以上が経過して、「確たる専門知識を得て成果も出せるようになった」という方の次ステップとして外資系企業への転職を考えることがあるでしょう。
またこのまま現職を続けても年功序列的文化は崩壊しつつあると言っても「現状先輩が多く在籍していて昇進できるのだろうか」と悩み、外資系企業への転職で活路を見出そうと考える方もいるでしょう。
日本企業と外資系企業とでは習慣や文化が大きく違い、それが外資系企業への転職希望者にどのように備わっているかで考え方に違いで出来、外資系企業に転職できる可能性にも影響してくるでしょう。
具体的に数例各々を対比した表現で示すと
集団 ⇔ 個人
画一性 ⇔ 多様性
継承 ⇔ 開拓
序列 ⇔ 抜擢
日本的 ⇔ 国際的
30代、外資系企業へ転職するに必要なスキルや経験
外資系企業が実力主義で、日本企業で成果が出せたからといって外資系企業でも活躍できるとは限らないようです。それは単に日本企業で出した成果のみでは評価されないということになります。
では改めて外資系企業への転職を成功させるためのスキルや経験について解説していきます。
また今回は30代という事で他の年代とは違った必要条件についても解説していきたいと思います。
英語力:
外資系企業日本法人には日本人社員と外国籍社員または海外法人からの出張者が多数います。
一方日本企業にもその企業のグローバル度等により海外から来客等があるでしょう。しかし、日本企業で海外からの来客に接する社員はごく一部でしかありません。
外資系企業で日本人同士日本語を使いコミュニケーションを取る事は一向に構わないが、会議等で一人でも外国籍の社員または来客等あれば英語のみがコミュニケーションとして許される。
このような環境の中、30代で外資系企業に転職するのであれば、最低限としてビジネスレベルの英語を使わなければならない。
また履歴書・職務経歴書等にはTOEICスコアで800点台以上でなければならない。
この800点台の意味合いは、同程度のリスニング・スピーキングがあるという前提で外資系企業は理解する。
余談ではあるが、
私の実体験として敢えて「英語力」に記載するが、30代前半に日本に進出して間もない外資系企業に入社した。入社第一週目に、マーケティング部門として担当製品がアサインされその場で日本法人GMから「来週から海外本社に行けるか?」と問われた。そこで「パスポートの確認をします」と答えたら、そのGMから叱責されてしまった。上司であるマーケティングのディレクターは、翌週イベントがあるので「早くても2週間後に海外本社へ」とフォローしてくれた。「パスポートの確認をします」と答えたものの私自身は自宅にパスポートがあるのは記憶していたが「有効期間満了日」の記憶が曖昧だったので上記のように答えたのだった。当日帰宅後、パスポートの記載事項を確認して、翌日マーケティングディレクターにいつからでも出張問題ない旨伝えた。先に書いたように翌週イベントがあったのでその次の週からしばらくの間海外本社出張となった。同じ外資系企業でも日本法人設立間もない事から迅速な対応が出来るように事前準備が必要なことが感じた経験であった。
国際的な経験:
外資系企業日本法人の企業規模に関わらず帰国子女が在籍している。彼ら帰国子女と日本で生まれ育った人材とでは考え方や文化が大きく違う。当然受けてきた教育や生活環境に影響される。
これらは優劣を判断できる事柄ではない。
しかしながら、外資系企業本社は日本にはなく、日本人は外資系企業本社に合わせることになる。
そこで学生時の留学経験または海外での勤務経験等があれば国際的な視野で物事に対応できることをアピールできるでしょう。
クロスカルチャーコミュニケーション:
日本企業で勤務しその企業がいくらグローバル化していても本社が日本にあり物事の多くを日本人が決めているのであれば「日本人」「男性」「40~50代」による画一的である。
一方、外資系企業に在籍する人材(全世界)の文化やバックグラウンドは様々である。このような社会では他人の年齢や性別を問わず相手を尊重し協力しながらコミュニケーションする能力が問われる。
日本的な単一方向のコミュニケーションは外資系企業では理解されず、双方向のコミュニケーションを行う。
このことは求人企業との面接でも面接官とのやり取りで転職希望者のコミュニケーション手段を含む能力が外資系企業で円滑にやり取りが行われるか評価されるでしょう。
分析力及び論理性:
現在全ての社員がPCを支給され所属する部門は違ったとしてもその活動で何らかのデータが存在する。そのデータを元にこれまでの活動を評価する為または今後の活動のプランニングの為にデータ分析能力が求められる。さらにそのデータ分析等を元にビジネス分析等のスキルが求められる。これらは部門または組織全体の意思決定に寄与できるでしょう。
私が20代にある産業機器に関わる企業に在籍時エンジニアリング部門に勤務していたがある疾患の影響で経営戦略部門へ異動となった。その経営戦略部門で私は各事業部門からデータを吸い上げ定期的に開催される事業部長会及び経営会議の資料を作成することとなった。特に私に役職と呼べるタイトルはなく異動前の私が所属した事業部長と会話は殆どすることがなかった。しかし経営戦略部門として資料を作成するデータを吸い上げる為に両手では足りない数の部門の部長職や課長職に日参してデータを吸い上げつつ、データ分析かつ経営者が見ても安易に理解しやすい資料作りに努めた。当然当時データ分析能力や経営者への適切な情報提供となるうるビジネス分析能力のスキルを磨き経験を積むことが出来た。また社内ではあったが、社内の様々なポジションの方々とコミュニケーションを取るために知恵を絞り円滑に進められたことは私にとって糧となった。現在であれば、ICT技術が当時に比べ格段に進化しているのでPC一台で瞬時にデータ分析等様々な経営会議資料用情報が出てくるでしょう。
話は本題に戻り、
また日本企業と違い外資系企業では物事を論理的に表現することが求められる。
ただ論理的と言われてもと思う方も多いでしょう。そういう方にはSTARメソッドを活用されることを勧めます。
STARメソッドのSTARとは「Situation(状況)」、「Task(課題)」、「Action(行動)」、「Result(結果)」の頭文字をとった言葉で、物事の始まりから終わりまでを論理的に説明ができます。
Situation, task, action, result
The situation, task, action, result (STAR) format is a technique used by interviewers to gather all the relevant information about a specific capability that the job requires
- Situation: The interviewer wants you to present a recent challenging situation in which you found yourself.
- Task: What were you required to achieve? The interviewer will be looking to see what you were trying to achieve from the situation. Some performance development methods use “Target” rather than “Task”. Job interview candidates who describe a “Target” they set themselves instead of an externally imposed “Task” emphasize their own intrinsic motivation to perform and to develop their performance.
- Action: What did you do? The interviewer will be looking for information on what you did, why you did it and what the alternatives were.
- Results: What was the outcome of your actions? What did you achieve through your actions? Did you meet your objectives? What did you learn from this experience? Have you used this learning since?
プロジェクト管理:
既に30代になっていれば様々な業務を任されているでしょう。そこで業務の状況を把握するにもプロジェクト管理を行っていた事でしょう。
外資系企業ではただプロジェクト管理ができれば良いのではなく、透明性高く瞬時にプロジェクトの計画、実行、監視、制御の状態を示さなければなりません。先の「分析力」同様にICT技術を自ら使いこなすことも必要となります。
リーダーシップ:
30代で外資系企業に転職を希望するのなら、求人企業としては専門性を持ったリーダーまたはマネージャーとしても入社することを前提に選考します。
例えばそのマネージャー職は、日本企業では課長職の相当しその権限を有する事と共に責任も発生いたします。
日本企業での課長職は年功序列的人事異動により30代で任命されることは少ないかもしれません。
しかし、外資系企業では実力と経験に応じたポジションが与えられますので、日本企業の人事システムと比較して論じるのは無意味となるでしょう。
ただし、外資系企業に転職するにあたり、外資系企業では今までのリーダーの経験の有無とその内容と成果、マネージャー又はそれ以上の上級職としての経験の有無とその内容と成果を確認し評価します。
日本企業ではそれらの経験が無くても「熱意」「意思」を評価する事もあるようですが、外資系企業では実際に経験した事に対してのみ「評価」されます。
イノベーションへの貢献:
日本では高度成長時より過去を継承することが第一でその上で新しい製品・サービス等様々な事柄を創造してきました。
しかし、現在世界では「日本の高度成長時」とは変化の速度が著しく違います。
よって外資系企業では如何なるポジションであってもイノベーションが求められます。
未だに日本企業には受け身な状態で業務を行っている人材がいるようですが、外資系企業では様々なポジションらが、イノベーションしていることで新製品・新サービスのきっかけとなり、より効果的(効率的)なプロセスが導入されています。
このようなイノベーションとなる転職希望者が経験した事例を示して、外資系企業へ貢献できることを示しましょう。
専門知識:
経理又は財務職等業界が変わっても通用する職種以外の方は同業界に転職する方が多いでしょう。
そこで業界の動向や求人案件に記載ある要件を満たす専門性については十分なる知識が備わっていることが大前提となります。
特にこれらの事について外資系企業との面接時に深く質問を受け、専門知識の有無について確認がある事でしょう。
私が30代後半にある外資系医療機器メーカーに入社した際、医療機器に関わる法規制が大幅に改正されたばかりでした。その改正について面接では当然のように詳細にわたり質問されました。また入社後すぐに私と私の部門と関わりのある他部門のマネージャーが海外本社に様々な関係部門と会議を行う為に出張しました。その時も関連法改正はホットなトピックでしたので質問が多々ありました(多くは想定されていたのでPPTでプレゼンのスライド作成済)。事前準備をしていたので問題なく海外本社関係者の質問に対して回答することが出来た。
自己啓発:
ここには敢えて「自己啓発」と示しましたが、外資系企業では「セルフスターター」という言葉があります。
日本企業では中途社員に対して「業務を引き継ぐ」「業務を教える」という言葉や行為が存在します。外資系企業では存在しません。
外資系企業では「業務内容」「目標」があり、「業務内容」については求人案件に記載されています。また「目標」は入社後すぐに決まります。
その「業務内容」を遂行する能力は既に備わっているという前提での採用ですが、どのようにやり「目標」を達成するかは「セルフスターター」の力量によります。
所謂「セルフスターター」とは自ら主体的に行動するということになります。受け身の行動は評価の対象外となるということです。
日本企業には上司等から指示されたことを忠実に実行するという方々がいますが、外資系企業で言う「セルフスターター」はその日本企業の真逆となります。
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